CAFE246 リノベーション

外観とバラ売り
地価の高い土地は、家賃も高い、入居できるのも収益性の高い企業や大きな組織のヘッドオフィスに限られる。古い汚いビルは、地価に見合った家賃が取れなくなるので、解体・建替を行なう。新しいビルは、当然、高めの家賃を設定する。これでは、街は、エントランス周辺にガードマンがいるようなオフィスビルだけとなってしまいます。
大企業は一般的に広いフロアと最新設備の物件を希望しますが、フロアもさほど広くなく、古いがゆえに設備の劣るビルは、オフィスビルとしては高い家賃の設定は出来ません。そこで、入居率を上げるには、フロアを区切ってバラで貸すことになります。
芦屋市・六麓荘の条例規制では、土地のバラ売りを条例で規制(敷地面積を四百平方メートル以上)することにより、街の外観を守る動きとなりましたが、ここでは、「外観を守る=バラ売り禁止」となりました。売れないからバラ売りするのであって、売れないのにバラ売りを禁止するというのは、地価の下落というリスクも付いてまわります。
街の外観という点では、古くて汚いビルが街の評価を下げてしまうのは、オフィスビル街も戸建住宅地と一緒です。
魅力的な外観を維持しつつ、マーケット・ニーズ(リーズナブルさ)に答える。これが街づくりに求められる要素で、土地の所有者の意識が問われるところではないでしょうか。
内装と外観(ファザード)
青山ツインタワー(青山一丁目駅)が背後に迫る場所に、1Fにカフェと古洋書屋(CAFE246とBOOK246)が入居するリノベーションされたビルがあります。元々は、建設会社の自社ビルでした。
このリノベーションには、1Fに店舗、上階にSOHOという入居者ニーズにあわせたファザードとなるような工夫がいくつか見られます。
この建物をファザード単体でみると、コルビジェの設計したビル風とも言えなくはない外観になっていますが、イームズのチェアがマッチするようにデザインされたCAFE246と合わせて、同年代デザインにコーディネートされた感のある一体感のある雰囲気を醸し出しています。
このビルの背後には、青山ツインタワー、正面は46階建ての高層マンションとなりますから、リノベーションの際のファザード・デザインとしては、無機質感がもう少しあったほうが、まわりとマッチするかもしれません。
しかし、ベースとなる建物のグレード感、入居する店舗、住居の内装に合わせやすい素材感などを考慮すると、このバランスなのだなと感じさせてくれます。
人の住む街
同潤会アパートのあった表参道、こじんまりとした戸建が多い南青山など、人の住んでいる街は人の集まる雰囲気を持っています。大手町が行きたくないが行かないといけない街というのと、性格を異にします。
ニューヨーク・マンハッタンも、多くの人が住む街です。人の住む街は、スーパーがあり、カフェがあり、クリーニング屋もあります。それらのサービスをリーズナブルに提供してもらうには、家賃の安い物件、つまり古いビルも必要です。
古くても外観的に趣の有る建物は、経済の合理性から行っても、街を魅力的にさせるために必要なのではないでしょうか。
造っては壊しの繰り返しは、お金の循環(経済効果)には貢献するので、税収を期待する政府は喜ぶかもしれませんが、豊かな生活を送るための合理性は低いのではないでしょうか。
資源が乏しいながらも豊かな生活を送っているヨーロッパの町で、古い建物が大活躍しているということと比較すると、このような疑問が湧き上がってきます。
リノベーションされたビルの誕生によって生まれたCAFE246とこの一角が、今後、街の中でどういう存在となっていくのか、とても楽しみなところです。
